コラム「犬の消化器官と穀類」

犬、と一言で言っても古くから狩猟犬、牧羊犬、愛玩犬といった人間の目的によって品種改良が行われてきました。それによりグレートデンやアラスカンマラミュートといった大型犬、チワワやトイプードルといった小型犬という大きさの違いだけでなく、毛の長さや顔の形の違いも様々です。

 

ただ、見た目の多種多様さに比べて犬が本来持っている視覚、嗅覚、聴覚の鋭さや消化器官は基本的にはどの犬も同じです。

 

そこで消化器官の話です。

 

犬は私たち人間と同じ大腸、小腸、盲腸といった消化器を持っています。しかし人間に比べて犬の消化器官は短く、肉をベースにした高たんぱくの食事に適応し、たんぱく質を効率よくエネルギー源として使用するように最適化されています。

 

そして犬は穀類を食べることに対しては不向きです。

 

「穀類」といえば「炭水化物」と真っ先に浮かぶくらい、私たちにもお馴染みの炭水化物ですが、実は肉食動物の犬にとっては、炭水化物が絶対に必要とは言えません。炭水化物は糖と食物繊維に分けられます。糖は消化酵素によって分解されてエネルギー源となります。繊維は腸の内容物のかさと水分を増して便秘や下痢の予防になります。ただし炭水化物含有量が多すぎると、体内脂肪になってしまします。この辺は私たちの感覚とほぼ同じですね。

 

前述のように、人間に比べて短い腸をもつ犬は、植物や穀物をベースにした食事をすることは仮にできたとしても、アレルギー反応を起こしたり、栄養バランスを崩したりしてしまうと言われています。穀類と炭水化物による犬の健康問題として挙げられるものには、アレルギーの他にも食糞、低血糖症、糖尿病、肥満などがあります。 穀類は安価で入手しやすく、ペットフードへの加工も簡単であるため、市販されているドッグードのほとんどが複数の穀類原材料を含み、またその使用量も原材料中30%から60%といった量が含まれています。